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社内に問題解決のレスキュー隊を配備する

ひとりが生み出せるものは小さいが、小さな成果が束になって毎日積み重なったとき、企業が成長する。みなさんもよくご存じの理論だと思います。私は、プラス、小さい組織を積み重ねるということを提案してきました。

たとえば、ひとりのリーダーが目の届く範囲は6人がいいところです。ですから、その人を入れて最大7人のチームを1つのユニットとするのです。そして、ユニットをピラミッドのように積み上げていきます。

次に、年齢に関係なく、リーダーと2番手くらいに、所長とか課長とか班長とか、「長」を付けます。すると、それまで遅刻の多かった人が朝遅れないようになり、部下に対して育てる言動と行動が起こる。責任と役割を与えると、人は変わるのです。

しかし、「長」が付いているからといって、すべての悩みを包み込みながら部下の面倒見がよく、まわりに気配りが利いて、しかも売り上げがいいなんていう人はいません。ですから、小さなことでもいいから、何か困ったことがあれば報告する専門部署をつくっておきます。リーダーは報告したら終わり。あとは社内レスキュー隊のような専門スタッフがやってきて、問題を解決してくれます。

本来、リーダーはチームの売り上げを上げることが最大の役割なのですから、それ以外の問題を抱え込む必要はないという考え方です。リーダーの荷物を軽くする、リーダーをバックアップするシステムをつくっておくことで、安心して役割に徹することができます。それで、全体として組織が完成してくるのです。

Age 35が組織を活性化させる

個人差はありますが、一般的に一番パワーと根性があって、フレキシブルに動ける年代は35~45歳でしょう。特に35歳前後はもっともエネルギーにあふれた年齢だと思います。

まず、何といっても体力と気力があります。仕事で疲れていても、部下から相談を受ければ朝まででも真剣に付き合えますし、2時間も寝ればいつものように仕事をこなすことができます。また、あたらしいものを覚えたり、情報を吸収し使いこなしていくスピードも早い。そういう活力ある人に、若い人たちもついていきます。

会社としては、体力、気力の充実した人を前面に出し、人を引っ張ってもらい、50歳を過ぎたら組織をコントロールする管理者として支え役に徹すると、会社はグングン活性化します。若い世代が活躍する会社の方が、生き残る確率が高いのです。

ところが、そうはうまくいかないのが組織というものです。人間も時間が立つと古くなります。上手に部署転換が図れればいいのですが、35歳だった人が50歳になっても同じ立場で幅をきかせれば、当然動きが鈍くなり、会社の活力も衰えてきます。

そこで、可能であれば、新規事業、あるいは新規プロジェクトを立ち上げ、35歳をヘッドに30歳前後の若い人だけでチームを編成し、しっかり勉強してもらいながら業務に当たらせます。そこで1つの成功例をつくるのです。たとえ小規模の成功でも、事実として成功したモデルがあれば、そこを基軸に事業を広げ、ふたたび会社が生まれ変われる可能性があります。

若い人材の活用が、これからの企業の生き残りを左右するのです。

会社を去る人には卒業証書を渡す

この人材には見込みがあると思えばこそ、社員教育にも力が入ります。ところが、背負っている荷物をすべて降ろし、研修を積ませ、仕事を教え込み、さあこれから実績を上げてもらおうというときに、会社を辞めてしまう人は思った以上にいるものです。

可愛がって育てた上司から見れば、「せっかくここまで育てたのに…」という悔しさとショック、自分に対するふがいなさなど、いろんな感情がないまぜになって、落ち込んだり、怒ったり。そういう気持ちになるのも当然です。人間ですから。

でも、辞める相手を責めても意味がありません。無理に引きとめてもお互いマイナスになるだけ。そんなとき、私は「おめでとう。次の職場で活躍するよう願ってます。君も自分を信じてがんばれ。そして、うまくいったらうちにも仕事を持って来てくれよ(笑)」と言って卒業証書を渡します。そして、OBと呼ぶのです。そうすると双方が気持ちよく別れられます。

OBなのですから、やさしくして、細い糸でつながっていればいい。待っていればいつかいいこともあります。実際に、別の会社で活躍し、何年かして本当に仕事を持って来てくれたことも1度や2度ではありません。

相手がどうあれ、自分から花を刈り取らない。刈り取らなければ、種が落ち、新芽が出て、また新しい花が咲く時期が来るのです。

部下に右腕を付ける

中小企業の経営者が楽になろうと思ったら、自分の直属の部下たちにも右腕を付けるといいと思います。そして、その人材を自分が直接フォローすると、自分自身が楽になります。

経営者としてかけだしのころ、私は自分から率先して仕事をしていました。でも、ひとりでやれることには限界がありますから、誰かを育てることになります。ところが、育てた部下たちに次から次へ仕事を振ってしまうと、今度はその人たちがパンクする。それで、それぞれの部下たちにも右腕と呼べる人材を1人ずつ付けてみたのです。そして、ときには部下を飛び越えて私が直接指導した。そうすると、いつの間にか部下が楽になって、自分も楽になっていました。

それがわかってからは、部下にも「必ず下の下まで育ててくれよ」と頼むことにしました。これと同じことを各部署でやっていくと、ひとりでに組織が動き出します。それを計画的にやるということが大事なのです。

もっと欲を言うと、部下は自分よりひと回り下、部下の部下は、さらにもうひと回り下が理想です。自分が55歳だったら43歳の人を育て、43歳の人には31歳の人を育ててもらう。これがうまくつながっていくと、自分が年をとっても組織の年齢バランスが崩れません。一生ものの人材配置になります。

「人生80年史」をつくる

23 歳のときに、「人生80年」という年表をつくりました。30歳で結婚して、32歳でひとり目の子供が生まれ、35歳でマイホームを立て、45歳で子供が中学校に入学して…と、年齢に応じて起こるであろう人生のステップを80歳までこと細かく書き出し、そこにかかる費用を書き込んでいったのです。

ひとりの人間が死ぬまでにこれほどお金がかかるものなのか、愕然としました。と同時に、まだ見ぬ人生の先までシミュレーションを通して経験したことが、仕事に生きました。

なぜなら、お客様には自分の親ほどの年齢の人もいれば、もっと年を取った人もいる。さまざまな年齢のお客様がいる中で、相手の置かれている状況や立場、大変さ、苦労、気持ちといったものが自分事としてわかると、決まらない話が不思議なほど決まるのです。

それで、この「人生80年」を中途社員研修に使うことにしました。ひとりひとりに自分の「人生80年」をつくってもらうのです。すると、もうひとつの効果が生まれました。

中途社員というのは、何かと前の会社との比較するものです。それがときに愚痴になったり、不平不満になったりします。しかし、それより自分自身にふりかかってくる経済的なことに目が向き、文句を言っている暇なんてないということに気づくのです。それで、一生懸命働いてくれるようになります。

そこでもうひと押し、「言う側ではなく、言われる側に立て」という話をします。稼げる人間になるには、自分自身の可能性を伸ばす必要がありますが、人の話に耳を貸さず、不平不満を言う人は絶対に伸びません。耳の痛い話だろうが、年下の話だろうが、つねに聞く姿勢を持ち、いいと思ったことは実践する。それを体で覚えると、人としての徳も身に付き、どこへ行っても応援される人になります。

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